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酒屋のブログ

ブームの終焉?今こそ知りたいジャパニーズウイスキーの本質とは

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2021年、日本洋酒酒造組合は「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を制定し、2024年4月から本格施行されました。

これにより、原材料・製法・熟成・瓶詰めまで、
すべて日本国内で行われたウイスキーのみが「ジャパニーズウイスキー」と名乗れるようになりました。

そして2025年3月、ついにその信頼性と品質を象徴する公式ロゴマークが誕生しました(^^

ウイスキー樽の鏡板をモチーフに、
中央には「JW」、周囲には「JAPANESE WHISKY」と「JSLMA(日本洋酒酒造組合)」の文字が刻まれています。

色合いは、ゴールドからブラウンの色調でしょうか?

熟成されたウイスキーの深みと温かみを感じさせ、まさに“本物”の証です。

伝統や熟成の重みを彷彿とさせる印象ですね(^^♪


ここ数年、ジャパニーズウイスキーは海外での評価も高く、「山崎」や「響」が数十万円、数百万円どころか、数千万円~億単位で取引されるなんてニュースもよく見かけました。

ところが意外にも、ジャパニーズウイスキーの輸出金額は2022年をピークに、2年連続で100億円以上も減少しています。

え? なんで?人気があるんじゃないの?
と思った方、私も最初はそうでした。でも調べてみると、いくつかの理由が見えてきました。

① 主要輸出国の景気減速

特に中国では、財務省の統計によると、2023年の輸出金額が前年比で約30%以上減少しています(※ジャパニーズウイスキー 輸出金額の推移|JP WHISKY.NETより)。
高級酒のような「嗜好品」は景気の影響を受けやすく、購買意欲の低下が顕著です。

② 「ジャパニーズウイスキー」の定義厳格化による影響

実はこれまでは、海外で作られた原酒を日本でブレンドしただけでも「ジャパニーズウイスキー」として売られていたケースがありました。この“日本風”として流通していた輸入原酒ブレンドの商品は、定義に合致しないため「ジャパニーズウイスキー」として輸出できなくなったことも一因しています。

③ 原酒不足と価格高騰のダブルパンチ

そもそも、原酒が足りない問題です。
ウイスキーは、10年、20年と熟成させる時間が必要なため、”いますぐ”の供給を増やすことはできません。

さらに、日本国内でもウイスキーの需要が高いため、限られた原酒は輸出とのバランスを取りながら配分されているのが現状です。その結果、価格も高騰し輸出量はさらに絞られるという悪循環が生じています。


一部では「ジャパニーズウイスキーブームはもう終わったのでは?」という声も聞かれます。

確かに輸出金額の減少や、入手困難な銘柄の高騰などから、かつての熱狂的な盛り上がりは落ち着きを見せています。

しかし、それはあくまで“一過性のブーム”が落ち着いただけのこと。

ジャパニーズウイスキーの価値そのものが下がったわけではありません。

むしろ今、表面的な人気から一歩進み、本質的な魅力や背景に目を向ける動きが広がっていると感じます。

ストーリーや造り手の想いが、ウイスキーの価値をさらに高めていく時代が始まっていくのではないでしょうか。


ジャパニーズウイスキーの本当の魅力とは?

ジャパニーズウイスキーは、いま、流行や話題性の中で消費される存在から、
長い時間の中で育まれた「背景や物語を味わう存在」へと姿を変えようとしています。

100年という時の積み重ねが証明したのは、流行ではなく“本質”でした。

定義が整い、正真正銘「日本で造られた」ウイスキーだけが“ジャパニーズ”と名乗れる時代。
それはつまり、造り手たちが守ってきた誠実なものづくりを守れることでもあります。

短期的には輸出量の減少など影響も出ていますが、定義の厳格化は、ジャパニーズウイスキー全体の信頼性を高めるための重要な取り組みであることは間違いありません。
もちろん、海外原酒を使ったウイスキーにも、それぞれの魅力やストーリーがあります。けれども今改めて問われているのは、“日本で造る”という姿勢に込められた誠実さと、時間をかけて築かれた信頼です。

今後、基準を満たす製品に対しては順次、何らかの形で表示や記載による対応が進められる見込みですが、その方法や時期についてはメーカーによって異なるようです。この定義には現時点で法的な拘束力はなく、日本洋酒酒造組合(JSLMA)に加盟する企業にのみ遵守が求められています。

今後は法制化や地理的表示(GI)の指定も見据え、さらなる展開が期待されます!

今こそ、数字では測れない“価値”に目を向けて。

参考・引用元


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