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酒屋のブログ

純米大吟醸なのに、どうして?

Nブログ 商品紹介

皆さんは日本酒を選ぶとき、何を頼りに選んでいますか?

銘柄?
お米?
精米歩合?
産地?

きっと多くの人は「吟醸酒」「純米酒」や「純米大吟醸」といった表記で選ばれる人も少なくないのでは?

「吟醸酒」「純米酒」といった表示のことを「特定名称酒」と呼びます。
基本的に日本酒は「特定名称酒」と「普通酒」に分けられます。
現在、この特定名称酒の生産量は、日本酒全体の生産量の約40%を占めています。

通常のお酒よりも手間をかけてつくられていますので、多くの日本酒ラベルに記載されているのをよく見かけることと思います。

ですが、最近ではあえてこの「特定名称」を使わない商品や蔵元が多くなってきているのです。

特定名称はどう分けられているの?

ポイントは2つ。

ひとつめは「醸造アルコール」が入っているか、いないか。

醸造アルコールを使っていないお酒には「純米」とつけることができます。
つまり、純米酒かそうでないか。

ふたつめは、原料の米をどれぐらい削っているか。

手間ひまをかけて作る、このことの多くを指すのが「精米歩合」です。
精米歩合とは、玄米からお米をどれだけ削ったかの割合を表します。

なぜ削る(=磨く)のかというと…
酒造好適米と呼ばれる日本酒造りに適したお米が使われますが
外側の部分には、雑味のもととなるたんぱく質を多く含んでいます。
できるだけ中心部分だけを使う方が雑味の少ないきれいな味わいのお酒になるからです。

精米歩合60%とは、
削った後のお米の状態が60%、削られた部分が40%ということを表しています。

ちなみに・・・

精米にかかる時間は、70%なら12時間、60%なら24時間、50%なら 48時間、40%なら72時間、
35%では100時間・・・とかなりの時間と手間がかかる作業なのです。

普段私たちが食べている白米の精米歩合がおよそ90%ほどといわれていますので、
いかに日本酒が手間ひまをかけてつくられているのかがイメージしやすいかと思います。

この特定名称酒を「純米酒かどうか」「原料の米をどのくらい削っているか」という基準に分けると
上記図のように8つに分類されます。
精米歩合も10%ごとに名称が変わっていますね。

特定名称は、あくまで精米歩合や製法、アルコール添加の有無によって分けられているのであり、
味わい”でカテゴライズされているというわけではありません。

1990年、およそ34年前に新しい分類体系として導入されました。

当時の法制度のままでは現代の醸造技術変化と多様化のスピードに追いついていないのではないか・・・
「特定名称酒」をそのままあてはめていいものだろうか・・・

特定名称の記載は、義務ではなく任意事項なのです。

ここに、あえて使われなくなってきている理由がみられます。

多様化する日本酒

山口県を代表するお酒『獺祭』。
「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」
精米歩合は23%と、実に77%も贅沢に磨がかれています。

精米歩合50%以下で、純米大吟醸にわけられます。
しかしながら、それより20%以上も贅沢に磨かれているのだからもっと別の名称がついてもいいのでは?と思われることはないでしょうか。

また、栃木県でつくられる『仙禽(せんきん)』では、特定名称を一切つけられていません。

特定名称をつけない理由について蔵元は、
「特定名称は、消費者の中で日本酒のランク付け、格付けにつながっている。米を磨けば高価になる。確かに磨くほど使用する米の量が増えるのでコストアップになるが、それが全てではありません」と語られています。

例えば、精米歩合90%の米を使用し、酵母無添加の生酛(きもと)造りという非常に時間のかかる製法で造る日本酒の場合、「酒母を造る」という工程に60日近くかかります。(「生酛」とは酒母を造る製法のひとつ)。過去のブログはこちら→酒母の違いを探求します。

この場合、日数を含めたコストを考えると純米大吟醸を上回るコストがかかる場合もあります。

このように、現在の「特定名称酒」のカテゴライズだけでは、その日本酒がもつ本来の良さを十分に表現しきれないものがあります。

精米歩合が高いから安いお酒。

精米歩合が低いから高価で良いもの。

純米大吟醸だから一番いいお酒。

それだけではないということを知ってほしいのです。

30数年前、日本酒をワイングラスで飲まれていましたか?
生酒、にごり酒、スパークリング清酒もそれほど多くなかった時代。

ここ最近の傾向として、精米歩合50%なのに「純米吟醸」と名乗る日本酒が多いことをご存知ですか?

冷蔵庫にある日本酒のラベルをよーくみてみると新たな発見があるかもしれません♪

日本酒の多様化が進んできた今、純米大吟醸やブランド銘柄などにとらわれすぎず、

自らの舌で味わって楽しみながら、それぞれの日本酒がもつ個性と向き合ってみてはいかがでしょうか(^^

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飲食は明日への活力

 

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